企業における人事労務、研修、評価、育成施策のまとめ~キャリアコンサルタント量産計画

目次

Ⅱ キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
4 企業におけるキャリア形成支援の知識

本記事では細目①について詳しく見ていきます。

それにしても細目って読みづらいよね

うん、でも覚えることのまとめだから
これを知ってるだけでも解ける問題は多いよ!

細目はこちら

企業におけるキャリア形成支援に関し、次に掲げる事項について一般的な知識を有す ること。

① 企業における雇用管理の仕組み、代表的な人事労務施策・制度の動向及び課題、
セルフ・キャリアドックをはじめとした企業内のキャリア形成に係る支援制度・能力評価基準等、
ワークライフバランスの理念、労働者の属性(高齢者、女性、若者等)や
雇用形態に応じたキャリアに関わる共通的課題とそれを踏まえた自己理解や仕事の理 解を深めるための視点や手法

② 主な業種における勤務形態、賃金、労働時間等の具体的な労働条件

③ 企業内のキャリア形成に係る支援制度の整備とその円滑な実施のための人事部門等
 との協業や組織内の報告の必要性及びその具体的な方法

企業は従業員のキャリア形成のためにどのような取り組みを行っているのでしょうか?

これを読んでる方には実際に企業での人事職をやっていて
キャリアコンサルタントを目指している人もいらっしゃるかと思います。
経営者の方もいるかと思います。
こちらの内容は実践的なので当事者の視点をもって
見てもらえればわかりやすいと思います!

人事管理

どんな企業においても人材が貴重な財産であることは間違いありません。
人事管理は企業にとって非常に大切なことです。

ただ、人事・労務管理と言っても
・雇用管理
・労働条件の管理
・労使関係の管理
・安全衛生
・福利厚生
の管理などと様々です。

では人事・労務管理の種類について

人事労務管理の種類

人事・労務管理

雇用管理
労働条件管理
人間関係管理
労使関係管理

雇用管理とは
募集→採用→配置→異動→昇進→教育訓練→能力開発→退職
採用から退職に至るまでの管理を雇用管理と言います

労働条件管理
労働条件管理は賃金・労働時間・安全衛生の管理をして
社内の働きやすさを管理します

人間関係管理
人間関係や福利厚生などを充実させることで労働者の働き甲斐を向上させます
ここにはキャリアカウンセリングなども入ってきます

労使関係管理
労働者と使用者の関係を円滑にすることを目的としています。
労働組合や経営団体などを間に挟むケースもあります

人事も大変なんだなア

なにも全部が人事の仕事ってわけじゃないよ!
現場の管理職にも求められるし、
人の上に立つ立場であれば必要な知識が満載!

教育訓練

ではそんな雇用管理の中の教育訓練について
教育訓練はOJTOFF-JTに分けられます。

なんか前の調査みたいなやつでも出てきてたよね

うん!
職業能力開発基本調査では
OFF-JTまたは自己啓発支援に支出したのは企業全体の57.5%
OJTを実施している事業所は約64%
だったね

OJT

OJTは日常の業務を通じて行われる訓練。
ただ、やみくもに「とりあえずこれやっとけ」的なものではなく
担当者を決めて、計画的におこなわれる訓練のことです。
OJTに似ている制度としてブラザーシスター制度・メンター制度があります。

スターウォーズの子弟関係的なやつ?

うん、スターウォーズの奴はどっちかというと
ブラザーシスター制度かな
同じ部署で一緒にくっついて教育していく感じ

ワンピースのルフィとレイリーは
たまーに助けてくれるって感じだから
メンター制度っぽいかな

ブラザーシスター制度とは
新入社員と同じ部署の若手社員が始動だけでなく相談や組織になれるための助言までを行います。職場に年が近い兄貴がいる感じ

メンター制度とは
指導役(メンター)は違う部署の先輩社員が努めます。
定期的に面談を行うことで指導を受ける社員(メンティ)が自ら課題解決を出来るように促します。

OFF-JT

OFF-JTは日常の業務を離れて行われる教育訓練です。
企業内で実施される場合と外部の研修機関等を利用して実施されるものがあります。
大企業ではこのOFF-JTが体系化されていることが多く、
新入社員・中堅社員・管理職といった社内でのキャリアに応じた階層別研修

テーマを設定しておこなう目的別研修
優秀な人材だけにおこなう選抜型研修など形は様々です。
日本企業ではOFF-JTよりもOJTの方が重視されています。
「OJTを重視」又はそれに近いとする企業の割合は、正社員以外76.8%。正社員に対しては73.6%。となっています。

うーむ、じゃーワンピースのレイリーとルフィは
OFF-JTなのかな、
いかにも修行って感じで日常とは違うところで特訓してたし

そう分けるなら
スターウォーズはOJT、OFF-JTどっちもかな
一緒に戦いながら教えたり、修行したりしてるからね

とはいうもののOJT・OFF-JTはそれぞれ一長一短です!

OJT、OFF-JTのメリット・デメリット


OJTは時間的・コスト的にも優れていて実践的な知識や能力を取得できる
半面、担当者によって質の差が出やすく、担当者の負担も大きくなります

一方OFF-JTは体系的な知識が得られることや大人数に対して一斉に実施できる
半面、費用がかかり、実践的ではないです
ここでいう費用は訓練に直接必要となる直接費用
その時間労働者が仕事から離れることによる機会費用どちらもかかります。

企業としては費用の掛かるOFF-JTをできないという状況もあるでしょう。

だからOFF-JTの方が実施率が低いのか、、、

また、すべての従業員に教育訓練を行うよりも、
やる気のある人にだけ投資する(選択的研修)
やる気を上げさせるために投資する(自己啓発支援)を重視する企業も増えております。

さて、能力開発はなにも研修だけではありません。
昇格・昇進やジョブローテーションによっても効果を得られます。

昇格・昇進・ジョブローテーションによる能力開発

職能資格制度と職務等級制度という言葉は聞いたことは無いでしょうか?

以前、ちょっとだけ触れましたが、
職能資格制度は終身雇用が慣例だった日本的制度
職務等級制度は実力主義・成果主義のアメリカ的な制度
ざっくりいうとこんなところ。
(参考:転職を考えたときに読んでほしい。今できる最適なキャリアについての考え

つまりは
職能(職業を行う能力で評価)
職務(職務の重要性で評価)の違い。

職能資格制度

職業を行う能力って言っても様々です。
知識や技能だけではなく、性格や気質、行動力、積極性など。
年功序列などがいい例ですね。
仕事の能力は決して高くないけれど今までの貢献などでも評価される。
ドラマでよく見る「この上司に気に入ってもらえたら出世コースだ!」的な。

職務等級制度

一方職務等級制度はというと、能力なんて関係ありません。今ついている職務が全て。
つまり高いレベルの仕事をしてれば評価が上がる。というシンプルな考え

どちらにもメリットデメリットは有ります

職能資格制度職務等級制度
日本企業向き総人件費を抑えられる
ゼネラリストの育成に適するスペシャリストの育成に適する
柔軟な運用が可能中途採用が行いやすい
評価基準があいまい評価基準が明確
人件費が高くなる上位のポストに空きがなければ昇格しづらい

配置転換

配置転換とは人事異動のうち昇進等をともなわない横の異動のこと。
配置転換によって企業は必要とされる部署に人的資源を投入します。
またさまざまな部署で経験をつませて従業員の職業能力を向上させることもできます。

ジョブローテーション

配置転換を定期的に計画的に行うことをジョブローテーションと言います。
従業員は基本的には配置転換を拒否できません
労働契約や就業規則で使用者が配置転換を命じる権利が定められているから。

これ、なんか理不尽だよなぁ
そんな契約細かく見てないよ

ただ、従業員の側から配置転換を申し出ることのできる制度も増えています

配置に関する制度

自己申告制度  従業員にみずから希望を申告させる制度
社内公募制度  人材を必要とする部署が、社内から希望者を募り面接する
FA制度     一定の条件を満たした従業員が自ら希望する部署やプロジェクトに願い出る

さて、昇格や配置異動を効果的に行うにはやはり人事考課制度を確立しなければいけません。

今回の記事長くね?

関連する知識だからまとめて覚えた方が良いかなぁって
ほんとは小分けにして記事数を稼ぎたかったけど

人事考課制度

評価の原則

公平性 すべての社員を公平に評価
客観性 基準に基づいて正確に評価
透明性 基準・手続きを公開して納得性を高める

当たり前のことに思えるかもしれませんが、言葉にすると重く感じますね。

そしてなにを評価をするかも大切
成績なのか(成績評価)能力なのか(能力評価)情意・意欲なのか(情意評価)
あるいはコンピテンシー(成果に結びつきやすい行動)を評価するのか

そして評価の方法も絶対評価・相対評価の2つの方法があります。
色々ややこしいですが、人事考課が適切に行われると従業員が思えれば、
努力したり、能力を向上させるモチベ―ションにつながります。

ただ、しかし、ところがどっこい!正確な評価とはとても難しいのです
人間が評価するので、必ず偏った見方をしてしまう評価バイアスが入ってきてしまいます。

評価バイアス

①ハロー効果
評価を受ける人に特に優れた(または劣っている)特徴があった場合に、
その評価が他の全ての評価に影響してしまうこと。
小学校の時に足が速いだけでヒーローになるやついましたよね。
逆に運動できないだけですべてが劣ってると思われている人もいませんでしたか?

②論理的誤差
独立した評価項目であるにも関わらず、
評価項目間に関連性があると判断して同じ評価をしてしまうこと。
例えば足が速いやつはサッカーも上手いと判定してしまうとか。
知識が豊富だから、きっと記憶力や理解力もあるんだと判定してしまうとか

③寛大化傾向
温情や部下への人間関係とかを考えて甘い評価をしてしまうこと
「自分の部下だからな」「成績は出てないけど頑張っているから」とか
子どものころ、キャンプで飯盒で苦労して炊いた米が異常に美味しくなかったですか?
最近の炊飯器の方が科学的には美味しい米が炊けるにもかかわらず。

④厳格化傾向
必要以上に評価が厳しくなってしまう。
寛大化傾向とは逆で求める水準が高かったりすることで現れる

⑤中央化傾向
気づかいや自身の無さから中央値に偏った評価をしてしまう。
当たり障りのない評価をすること。
アンケートでとりあえず真ん中を選ぶことないですか?
・面白かった 5 4 3 2 1

⑥対比誤差
評価者の得意・不得意に基準を置いてしまい評価がぶれる。
頭のいい人にはバカの行動が理解できないものです。
自分がだらしなければ少しでも几帳面な人を見ると「すごい」と思うし、
同じだらしない人をみても「ふつう」と感じてしまうとか

⑦近接誤差
直近の出来事が印象に残ってしまうこと
普段は成績が悪い人でも、評価する前日に成果を出しただけで評価が上がるとか
など人間の評価は決して完ぺきではないことを念頭に置いて評価をするべきなのです。

さて、まだ評価の話は続きます!

絶対評価と相対評価について

絶対評価とは評価される人それぞれに評価基準を設定して、その達成度を評価する
相対評価とは評価される人が属する集団の中での位置を評価する。
徒競走をした時の個人のタイムで評価するのか、順位で評価するのかの違いです!

相対評価は他の人と比べてという視点がはいるため、
他の人との差がつけやすくインセンティブが働きやすいです。
一方、他の人と比べたら納得感は少ないでしょう。
自分の成績が上がっているのに集団全体の成績が上がっていたら評価は下がるのですから。

納得感という点では絶対評価の方が上です。
現在多くの企業で導入されている目標管理制度は絶対評価です。

目標管理制度

目標管理制度では部下が上司と相談しながら目標を設定して、
その目標の達成度が評価される仕組み。

会社から一方的にノルマを設定されるのではなく、従業員が自ら目標の設定にかかわることが大きな特徴です。

組織の目標や部署の目標と個人の目標を共有できることも長所の一つ

さて、評価を見たら今度はどうやって成長をさせていくか。

職業能力開発への取り組み

従業員援助プログラム(EAP)
キャリア開発システム(CDS)
セルフキャリア・ドック

従業員援助プログラム(EAP)
メンタルヘルスケアを中心に従業員を支援するプログラムです。
個人的な問題は業務のパフォーマンスの低下にもつながります。
ストレス、アルコール中毒、薬物依存、家庭の問題など。
企業内にスタッフが常駐している(内部EAP)と外部の専門機関に委託する(外部EAP)によって行われます。
最近はプライバシーの問題もあるため外部EAPを導入する企業が増えています

キャリア開発システム(CDS)
企業がキャリア形成に関する中長期的な計画を支援する取り組みです。
将来的なキャリアの目標を設定してその実現のために計画的な配置・経験・教育研修・自己啓発などを支援します。

セルフキャリアドック

第10次職業能力開発基本計画でもご紹介しましたが、
こちらも従業員のキャリア形成を支援する企業の施策です。

従業員にキャリアコンサルティングを受ける機会を提供する制度です。
キャリアコンサルティングと組み合わせて
多様なキャリア研修を体系的に実施することにより
・定着率やモチベーションの向上
・組織の活性化
・生産性の向上を狙います

2016年にはセルフキャリアドックを導入することで助成金の対象にもなっていましたが、
その制度は現在は廃止されています。
2018年度からは制度を導入する企業を無料で支援する拠点を開設して支援を行っております。

いずれも個人の成功と企業の目標達成は共生しています。

ということはキャリアコンサルタントは個人だけを対象にするのではなく、
その個人のかかわる組織や家庭、社会にまで配慮をしなければいけません。

その際に注意することとして詳しくは

Ⅳ キャリアコンサルタント の倫理と行動

にて解説をしますが、
あくまで相談者個人が良ければすべて良しではないことには注意してください。

では次の記事では具体的にどんな企業があってどんな勤務形態なのか、賃金なのか、含めて労働市場の知識全体を解説します

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この記事を書いた人

人材紹介会社にて約6年勤務。
人事責任者としての経験もあり、求職者側・企業側双方の視点から人事を学んでおります。

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